コラム

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2024-08-21更新

「地目」とは?地目の確認方法や変更について

「地目」という言葉はご存じでしょうか?
地目とは土地の登記事項の一つなんです。

先日投稿した用途地域と少し似ていてわかりずらいですよね・・・

簡単に言うと、「地目」はその土地がどんな目的で使えるのかを示したもの。
「用途地域」はその土地にどんな建物が建てれるのか、または建てれないのかを示したものになります。

今回は地目についての基本的な知識や地目の種類、調べる方法、変更登記が必要になった際の手続きの流れなど、地目について解説していきます。

 

 

1.23種類の地目と土地の利用目的
不動産登記法では、土地の登記のひとつに「地目」があります。
この地目とは、土地を主にどのような用途で使うのかを示したものです。

不動産登記規則の第99条及び不動産登記事務取扱手続準則の第68条により、土地の利用状況によって区分されています。

地目の種類と土地の利用目的は以下の通りです。

①田・・・・・農耕地で用水を利用して耕作する土地
②畑・・・・・農耕地で用水を利用しないで耕作する土地
③宅地・・・・建物の敷地及びその維持若しくは効用を果たすために必要な土地
④学校用地・・校舎、附属施設の敷地および運動場をいう。
⑤鉄道用地・・鉄道の駅舎、附属施設および路線の敷地のすべてをいう。
⑥塩田・・・・海水を引き入れて塩を採取する土地
⑦鉱泉地・・・鉱泉(温泉を含む。)の湧出口及びその維持に必要な土地
⑧沼地・・・・灌漑(かんがい)用水でない水の貯留地
⑨山林・・・・耕作の方法によらないで竹林の生育する土地
⑩牧場・・・・獣畜を放牧する土地をいう。牧畜のために使用する建物の敷地、牧草栽培地および林地などで、牧場地域内にあるものはすべて牧場とする
⑪原野・・・・耕作の方法によらないで雑草、かん木類の生育する土地
⑫墓地・・・・人の遺骸、遺骨を埋める土地
⑬境内地・・・本殿、拝殿、本堂、社務所、庫裏、教団事務所などの建築物がある一画の土地や参道として用いられる境内に属する土地(土地宗教法人法の第3条第2号および第3号)※宗教法人の所有に属しないものを含む
⑭運河用地・・運河法の第12条第1項第1号又は第2号に掲げる土地
⑮水道用地・・給水の目的で敷設する水道の水源地、貯水池、濾水場、そく水場又は水道線路に要する土地
⑯用悪水路・・灌漑(かんがい)用又は悪水排泄用の水路
⑰ため池・・・耕地灌漑(かんがい)用の用水貯溜池
⑱堤・・・・・防水を目的に築造した堤防をいう
⑲井溝・・・・田畝又は村落の間にある通水路
⑳保安林・・・森林法に基づき農林水産大臣が保安林として指定した土地
㉑公衆用道路・一般の交通の用に供する道路。個人の所有する土地であっても、一般交通の用に供する道路は公衆用道路に該当する
㉒公園・・・・公衆の遊楽のために供する土地
㉓雑種地・・・いずれの22の地目にも該当しない土地

土地の登記時に必要な地目ですが、登記上の地目と実際に土地の用途として認識されている地目とでは、必ずしも同一ではありません。
これは、登記上の地目=「登記地目」と、固定資産税や都市計画税の納税通知書に記載されている地目=「課税地目」の2つ地目があるからです。

「登記地目」とは、登記申請したときの地目です
「課税地目」とは、市区町村役場の担当者が土地の現況や利用目的を確認して認定した地目です

土地の用途が登記地目と変更があった場合、変更があった日から1カ月以内に登記の変更手続きをしなくてはいけません。
これは不動産登記法で、土地の所有者に義務付けられています。

所有者が変更の手続きを怠った場合には、不動産登記法第164条により10万円以下の過料が課せられます。
そのため、登記地目の用途が変更したら忘れずに登記変更を行いましょう。

2.地目の調べ方は?
前述で解説している通り、土地は地目によって利用目的を表しています。

そのため、土地探しをはじめる際には、目的通りに利用できる土地なのか、地目を調べなくてはいけません。

また、土地探しにおいては、過去の地目が判断材料のひとつになります。

今は「宅地」として販売されている土地でも、昔から宅地だったわけではない土地もあります。
なぜなら、以前は「田」「池沼」「ため池」だった土地を、都市開発で区画整理され「宅地」として販売している可能性があるからです。

たとえ、地盤改良工事など施されて整地された土地でも、地震による大きな揺れで液状化する恐れはゼロとは言えません。

購入を検討している土地があった際には、今の地目だけではなく過去の地目にも目を向けてみましょう。

そこで、次からは地目の調べ方について紹介します。地目を調べるには土地の有無によって調べ方が少し異なります。

①所有している土地の地目を調べる方法
所有している土地の地目を調べるには、以下の2つの方法があります。

1.固定資産税納税通知書を確認する
2.土地の登記済権利証を確認する

すでに所有している土地を調べる場合には、固定資産税納税通知書や土地の登記済権利証を確認する方法があげられます。

固定資産税納税通知書は、毎年4月~6月ごろにかけて市区町村役場から送られてきます。
納税する年の1月1日時点で土地や家屋の所有者。つまり課税対象者に対して送られてくる通知書です。
この固定資産税納税通知書には地目の項目が記載されていますので、確認してみましょう。

土地の登記済権利証は、登記申請を済ませた方に法務局から交付されていた書類です。
登記済権利証は所有者が保管する書類ですので、手元にあれば確認しましょう。

②所有していない土地の地目を調べる方法
所有していない土地の地目を調べるには、以下の方法があります。

1.登記事項証明書を確認する
2.登記事項要約書を確認する

購入予定の土地など、所有していない土地の地目を調べたい場合には、登記事項証明書や登記事項要約書を取り寄せて確認します。

登記事項証明書や登記事項要約書は、土地の地番さえわかっていれば手数料はかかりますが、どなたでも請求できます。

つまり、所有している土地の地目を調べる方法の固定資産税納税通知書や登記済権利証が見当たらないときは、登記事項証明書や登記事項要約書を確認する方法で調べましょう。

3.登記事項証明書や登記事項要約書を取得する方法
地目の調べ方について解説してきましたが、つづいては登記事項証明書や登記事項要約書の取得方法ついて紹介します。

地目を調べるうえで、現在の登記情報を知れる登記事項証明書や登記事項要約書は正確に把握できるのでまず間違いのない方法です。

取得方法の解説を始める前に、登記事項証明書と登記事項要約書の違いについて簡単に触れていきます。

①登記事項証明書と登記事項要約書の違い
登記事項証明書は、法務局で管理している登記記録を証明書として発行している書面です。
一方、登記事項要約書はその名の通り、登記記録を要約している書面です。つまり登記情報の必要箇所の要点だけをまとめた書面です。

この2つの書面で大きく違うのは、法的な証明力があるかないかです。

所有権などを証明するために効力があるのは登記事項証明書です。しかし、登記事項要約書には証明する効力はありません。

②登記事項証明書と登記事項要約書を取得する方法の違い
前述で解説している通り、2つの書面では決定的な違いがあります。
そのため、証明力のある登記事項証明書は複数の請求方法があるのに対し、登記事項要約書はひとつの方法しかありません。

【登記事項証明書の取得方法】
・法務局を訪れて窓口で交付
・法務局のホームページから請求様式をダウンロード、必要事項を記入し郵送による交付申請
・登記・供託オンライン申請システムを利用して請求

【登記事項要約書の取得方法】
・取得したい土地を管轄している法務局の窓口で交付

4.農地以外の地目変更はそんなに難しい事ではない
「田」や「畑」などの地目は農地法が関わってくるため、地目の変更手続きが複雑になり時間や知識が必要になります。
しかし、それ以外の地目変更についてはそこまで難しくはありません。

地目変更に必要な手続き方法や土地の調査方法など、変更登記に必要な最低限の知識があればどなたでも変更はできます。

①地目変更登記の手続き方法
地目の変更は、変更したい土地を管轄している法務局で行う手続きです。

「田」「畑」など、農地の地目の土地を、耕作以外の目的で利用する転用の場合には、農地法によって届出や許可が必要になります。
そのため、ここでの手続き方法は、農地以外からの地目変更というのをご理解ください。

地目変更登記の手順は、大きく以下の3点です。

1.土地地目変更登記申請書の書類を作成する
2.管轄の法務局に提出する
3.登記が完了したら登記完了証を受け取る
このように、手順をみてみると土地の所有者がご自身で手続きを行っても、そこまで難しくはない作業しょう。
ただし、土地地目変更登記申請書の記入項目には土地の所在、地番、地目、地積、または不動産番号が必要になってきます。(不動産番号がわかれば所在地などの記入は省略できます)
また、「宅地」に地目変更する際には、地積の項目に小数第二位まで記載しなくてはなりません。

そのため、地目を変更する際には地積がわかる「地積測量図」を手元に用意しておきましょう。

②農地を転用するには農地法の手続きを先に行わなければならない
農地の地目変更を行う場合には、地目変更登記の手続きの前に農地法の手続きを行わなくてはいけません。

なぜなら、地目が「田」「畑」などの農地は農地法という法律があります。農地法の許可なく自宅などへの建築行為は禁止されており、厳しい罰則が設けられているからです。

農地を転用する手続き自体はご自身でも行うことができます。しかし、農業委員会の担当者との打ち合わせや現地調査の立ち合いなど、時間が必要なのと専門知識を有していなくてはいけません。

そのため、農地からの転用を行う場合には、農地転用の専門的な知識のある行政書士や不動産会社に相談すると良いでしょう。

まとめ

今回は土地をどんな目的で使えるのかを表す「地目」についてお伝えしてきました。
地目から目的に適している土地かだけではなく、過去の利用状況から地盤の強度など仮説を立てられるので、土地探しの判断材料の一つになるでしょう。

地目の調べ方や地目の変更はそんなに難しい事ではないことは理解いただけたのではないでしょうか?
しかし、農地から転用する場合には地目変更の手続き以外に、農地法の手続きを済ませなくてはいけません。
地目の変更はご自身でできる範囲なのか。難しいようなら不動産会社や専門分野の方に相談してみると良いでしょう。
松坂産業ではそのようなご相談もお受けしております。
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