不動産の告知義務とは?違反するとどうなるの?
みなさんこんにちは。
先日のコラムでは不動産売却の流れについてご紹介しました。
今回は「不動産の瑕疵(かし)と呼ばれる欠陥や不具合の告知義務」のお話です。
不動産の状態や欠陥で、買主に必ず伝えなくてはいけない告知義務があるのはどんなものか、知っておくと安心ですよね。
告知をしないとどんなペナルティがあるのか、どのタイミングでどのように伝えるのかといった点もご紹介します。
●不動産の告知義務とは?どんなものに告知義務があるの?
中古の不動産なら「屋根が老朽化して雨漏りがする」「扉がガタついて開きづらい」などの不具合や欠陥がある可能性もあります。
このような不動産の不具合や欠陥のことを「瑕疵(かし)」といい、売却時には不動産の瑕疵を買主へきちんと伝えなくてはいけないという「告知義務」があります。
「相手は不動産の不具合に気づいていないから、黙ってこのまま売ってしまおう」というわけにはいきません。
傷や汚れのすべてを告知しなくてはいけないわけではないですが、生活に支障があるレベルの不具合については告知義務があります。
告知義務のある不動産の瑕疵は4種類です。
①物理的な瑕疵・・・不動産の物理的な損壊や欠陥で、生活に支障があるレベルのもの。
例:雨漏り・白アリ被害・壁のひび割れ・地盤沈下・土地に廃棄物が埋まっている など
②環境的瑕疵・・・建物に欠陥がなくても、日常生活に支障がでるような周辺環境の問題があるもの。
例:近隣の工場の作業音が響く・近所にゴミ屋敷があり悪臭がする・新幹線が近くを通るため振動が響く など
③心理的瑕疵・・・購入者が心理的に不快、不安な思いをするもの。
例:過去に自殺や他殺があった事故物件・近隣に暴力団事務所がある・隣に火葬場がある
④法律的瑕疵・・・建築基準法や都市計画法などで、不動産の使用や建築が制限されているもの。
例:建物の高さが制限されてるエリアで、3階建てにすることができない・建築不可物件のため増改築ができない
不動産にこのような瑕疵がある場合は、買主へ必ず告知しなくてはいけません。
また、4つの中でとくにトラブルになりやすいのは「心理的瑕疵」です。
心理的な瑕疵は目には見えないうえ、人によって気になる・気にならないの基準に差があるからです。
自殺や事故、事件などがあったいわゆる「事故物件」は、一般的に自殺や他殺があってから6年程度経過するまでは告知が必要といわれています。
事故物件を購入した人がさらに売却するときや、建物を取り壊して不動産として売却する際には告知不要とされています。
ただし、告知が必要な期間については明確な決まりがあるわけではなく、個別の案件によって判断基準が異なることも多いです。
たとえばニュースになるような凶悪犯罪があった不動産では、6年以上経っていても告知をした方が良い場合などもあるでしょう。
●不動産の告知義務に違反したら?
前述したように不動産の売買では瑕疵について告知義務があります。
告知義務を怠った場合は、売却後に売主は買主から物件の瑕疵に対する補修請求などを受ける可能性があります。
●補修請求
物理的瑕疵の場合、不具合や損害を補修するよう買主から請求されるものです。
または補修のための費用を請求されます。
●減額請求
補修費請求に応じない場合や修繕できない不具合の場合、または物理的瑕疵以外の瑕疵の場合には、物件の購入費の減額を請求される可能性があります。
「その瑕疵を知っていたら、この価格では買わなかった!」ということですね。
●契約解除
補修請求や減額請求に応じない場合、買主から売買契約を解除される可能性があります。
●損害賠償請求
告知義務違反で契約解除になった場合、買主が売買契約のために負担した費用について損害賠償請求される可能性があります。
契約書の印紙代、登記費用、引っ越しの費用などです。
心理的瑕疵で、心理的苦痛を受けた場合は慰謝料の請求となるケースもあります。
また、告知義務違反は売主だけではなく仲介した不動産会社にも責任問われてしまうもの。
そのため、告知義務に違反すると買主からだけではなく、不動産会社からも損害賠償を請求されてしまう可能性があります。
●瑕疵のある物件を売却する方法は?
売却する不動産に瑕疵があるなら、買主にはしっかり伝えたうえで検討・購入をしてもらうべきです。
瑕疵をきちんと伝えておかないと、告知義務違反になりますし「告知があれば契約しなかったのに!」というトラブルになってしまう恐れもあります。
瑕疵がある不動産の売却では、まずは仲介を依頼する不動産会社へ物件の状態や瑕疵について伝えましょう。
そうすれば不動産会社は物件のそのような条件・状態を踏まえたうえで、購入希望者を探してくれます。
「このような瑕疵があるので、その分値引きします」など値引き交渉の材料にして、購入の決断を後押しするのも有効な方法ですよ。
「瑕疵のある価値の低い物件」ではなく「瑕疵があるけどお得に買える」と思ってもらえれば、交渉もスムーズに進められるかもしれません。
また、買主が不動産の瑕疵について納得して購入を決めたとしても、売買契約の締結時に改めて説明する必要があります。
一般的には重要事項説明書に瑕疵の内容を記載し、書類に記録を残しながら説明と契約をすすめます。
告知義務の内容や期間などは、物件の状態や個別の案件によって異なる場合もあります。
「聞いていない」「説明と違う」といったトラブルを避けるためにも、丁寧に相談することがおすすめです。
瑕疵を隠していても良いことはありませんし、告知義務違反に問われてしまう可能性もあります。
まずは、不動産会社へ物件の状態をしっかりと説明し、どのような告知をしていくかを相談しましょう。
●まとめ
・瑕疵がある物件の売却では告知義務がある
売却する不動産に欠陥や不具合といった瑕疵(かし)がある場合、売主はその瑕疵を買主に伝えなくてはいけない告知義務があります。
告知義務のある瑕疵は、物理的瑕疵、環境的瑕疵、心理的瑕疵、法律的瑕疵の4種類です。
・不動産の告知義務違反をするとどうなる?
不動産に瑕疵があるのに告知をせずに売却するのは告知義務違反です。
売却後に買主から補修請求や減額請求、契約解除、損害賠償請求をされる可能性があります。
・不動産の告知義務の伝え方とタイミング
不動産の告示義務事項については、まず売却を依頼する不動産会社へ伝えましょう。
そうすれば物件の状態を踏まえたうえで購入希望者を探してくれます。
売買契約時には重要事項説明書へ告知義務の事項を記載し記録に残します。
松坂産業では経験豊富なスタッフが皆様の不動産のお困りごとに真摯に対応しております。
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